釣りヒント

釣りヒント、って言っても見てる人のヒントにしてね、っていうおこがましい感じじゃなくて、自分が釣れない時にこのページに立ち戻ってひらめきを得る材料になればいいなぁ、程度の備忘的な

 

集魚・誘魚考

 

 

 「釣りの科学」檜山義夫著(岩波新書)昭和44年を読んで、著者の釣りに対する姿勢に感服し、また参考とすべき点も多数あったのでここにまとめると同時に自分の考えも記しておきます。

 本文中は魚全般に通じる話が多いのですが、当然魚によってその能力に開きがあることを前提とします。

 

 

 

・魚の色の識別能力

 

 

 「水中は水色に近い色ほど透過力があり、遠くから発見しやすい。
 緑・青・紫(黒)などは人間よりもよく識別する。紫外線も感じることが出来る。
  もちろん識別力は水の透明度の高さに比例する。
 赤・黄・オレンジのような波長の長い光線は数メートルの深さでほとんど吸収される。背景に同化される。」

  「ハゼ釣りやボラ釣りに赤い糸や赤いゴム、またはオモリさえ赤く塗っているのを使う人がいる。おそらくハゼのいるような濁った水ではこれは赤として魚の眼に写らないだろうが周囲の水の色からして、何か目立つものであるに違いない。
  これも動かして使えば一種の疑似餌としての効果もあろう。」

 シーク者の「ハゼボート釣行」を見ていただければお分かりの通り意外にハゼ釣り場の水が透明なこともありますし、濁っているとしてもごく近くまでハゼが寄ってきた場合に赤い色であることが誘魚要因になることは充分考えられます。

 人間の目に映る色と魚のそれとは多少の違いはあるでしょう。
そもそも何故私たちが魚の色の識別能力を知りたいのかを考えると、それは魚が釣り針についたモノ(あるいはルアー)を口に入れようとする必然の第一段階だからに他なりません。
  
  魚がエサやルアーを口にするまでのいくつかの要因を示しておきます。

釣りエサの発見要因

・エサと似た色、光
・エサのニオイや味。エサのようなニオイや味。
・エサの動き、音、振動。エサのような動き、音、振動。

・食欲、好奇心、本能、習性を刺激する色、光。
・食欲、好奇心、本能、習性を刺激するニオイや味。
・食欲、好奇心、本能、習性を刺激する動き、音、振動。

 

 

・聴覚と振動を感じる能力

 


「集魚効果は音響にもある。魚がモノを食べる時の音はコツコツといったものだが、超音波も入ったこういう打撃音は、小さい魚を集める効果は確かにある。しかし、あまり強すぎてもいけない。」

「カワハギ、イシダイなどのモノを食べる時の音を録音して水中に出したり、小石を打ち合うような擬音で、同族の魚達が集まる事は知られている。しかし、これを強くするとかえって魚を追い払ってしまう。」

「音というより低い程の水の圧力の変化の波も、魚は側線で感ずる事も、人には聞こえない超音波もある程度は魚は感ずる事も分かっている。」

 

 

・集魚灯など

 


「海中に光を照らすと、動物性のプランクトンが雲のように集まる。幼魚も多い。しばらくすると、この雲をめがけてイワシ、カマス、サヨリ、サンマ等が突っ込んでくる。さらにその外側には、これらの小魚を食べに来たソウダガツヲやブリが遠巻きにしていて、時折水面に跳ねている。」

「電灯の強さで魚の集まる範囲が違う。もちろん強いほど遠くから集まってくるが、しかし、電灯の近くまで来ない。ある照度のところをぐるぐるまわっている。明るさを落とせば近くまで来るが。」

「電灯の色を変えてみる。白でも遠くに届く時は水の色になっている。水色のものは遠くまで届き、赤や黄は届かない。それで、はじめ青か白で魚を集め、後で赤い灯にすると魚は小さく固まるので、網でもラクにすくえる。」

 

 

・コマセの話

 

「アミの塩漬、塩魚、海藻などの煮汁、プランクトンを海水から漉し取ったものの煮汁に集魚効果があるか、という実験をした。
   が、これをヒシャクで海にまいたが、一向に魚はこなかった。

 そこに糠を撒いてみるとギンイソイワシという魚小魚が海面を跳ねて上がってきた。視覚も大いに関係あると知った。」

「水族館のアジを使って、コマセの研究をしていた時である。魚を寄せるのにどんなに有効な浸出液であっても、透明な液なら寄ってきて、口を少し動かすがすぐ散ってしまう。
   これが不透明な液なら効果は増えるが、紙を小さく切ったものを混ぜると、これを口にくわえてふる。しかし、飲み込まない。柔らかいゴム等は、口にすっかり入れる。しかし、吐き出す。アジの肉を叩いて細くしたのなら、食べてしまうーという事を知った。」

 最近では、コンドームのゴムを使用した(スキン)さびき、魚皮を使った既製品が主流であるが、ワームの極小を使用したものを出始めている。
   ルアー業界では、アメリカのバークレーという会社でブラックバスがルアーを追い口にする条件の一つに、顔に受ける水流が決め手になるとあった。もちろん振動や音などの他の要素もあるのだろうけれども、従来の口当たり優先のサビキの世界に、新しい要素が加わった事になる。

 コマセの中にもキラキラ光る粉の添加物等も売られているが、つけ餌よりも目立つとかえって釣果が下がるのではないかと思う。コマセを安く上げるなら、糠に誘魚力のある液を混ぜるだけでも同等に効果があるはずだ。

 つけ餌では、塩魚の煮汁やオキアミの煮汁で煮しめたスパゲティ(細いパスタ等)も充分な威力があると思う。

 



・光と色で魚を寄せる

 

 前述のように白く強い光程、遠くから発見されるものの、光源に魚は近寄ってこない。ならば、一つの仕掛けに光量の違う発光体、色の違う飾りでつけ餌に魚を導けないものか。赤い色は確かに魚(種類によるが)を刺激させる要素がある。

「蛍光色や貝、そしてパール色やアルミのように光を受けてアピールするものがある。昼、夜によって考慮に入れておくべきことだ。」

 どんなに魚を寄せることが出来る色も、光が無いと識別できない。また、光の無い環境でも色のついた、自身が発光するものの効果は大きいはずである。